2001.1
  あこがれの先生に聞きたい・あんなことやこんなこと、
  大好きな作品への疑問・質問をまとめてぶつけ、
  あまつさえ先生の素顔にせまってしまおう!
  というこの欲張り企画。
  今回のお客様は、神坂智子先生です!
  
●「べんがら格子の家」シリーズについて

Q1.まずはメールで来たご質問から。これが一番多かった質問です。
ズバリ!連載中の「君くれないに」を含む「べんがら格子の家」シリーズは実話ですか?
「ペンには曲がる線もあり、筆には狸(たぬき)の毛がまじる!」
実話にしたいのですが多少の狸の毛はまざっております。


Q2.最初の語り手の女の子・百香(ももか)は、いかにも実在の人物くさいのですが?
“百香”は誰でしょう。それは貴女(あなた)であり私でもあるのかもしれません。


※これが、百香ちゃんです。
「べんがら格子の家1」好評発売中!→


Q3.現在の主人公、元気がよくて意思の強いお(らい)は読者の人気も抜群!日本初の看護婦となって、ますます活躍してますが、菅太郎との恋のゆくえは?
“菅太郎”は… 岡山県の羽出木という地方へ行くと、たぶん記念館があると思いますが(私はまだ行っておりません)、片山潜(せん)となる人物です。(このホームページを見て行き方を教えて下さるとうれしいな、デス)
“恋のゆくえ”はたぶん平行線となると思いますが、たがいの気持ちの中には死ぬまでこだわりがあったと確信しております。


Q4.「みどりは豆色」にちらっと出てきたお(らい)が、「君くれないに」の主人公。とすると、次の主人公候補も既に登場してますか?
わかりません。次の登場人物を過去にさかのぼるか、横へと広げるか、まだ思案中です。


Q5.「君くれないに」の舞台は明治時代。北里柴三郎や山岡鉄舟が出てきたり、当時の言葉遣いや病院のシーンでの専門用語などなど、資料探しが大変そうですが?
エート、資料探しはほとんどしていません。私の本棚の範ちゅうでやっております。私の作品は外国物、日本物等たいていの場合、1800年〜1900年代(幕末から明治)ですので、あまり困らないのですよ。でもどうしても…という場合は、「小学館」というでっかい本屋さんがあるじゃないですか。その編集さんを頼っております(笑い)。 この仕事を始めて長いので、その時々に気に入った本、ビデオはピックアップしています。


Q6.先生がこのシリーズを描こうと思われたきっかけ、動機を教えてください。
実は… これが描きたかったのです。「きんとと」「パンと懐剣」「小春びより」の前から。だけど私のデビューした頃は、まだまだいろんな意味でむつかしかったので、上記の作品をまず出してみて、編集さん、読者様にどうわかっていただけるかを見ていたっていうところがあります。だから「プチフラワー」からお声がかかった時に、この辺でそろそろ踏み切ろうかって…。自分の制作能力が衰える前に“やっちゃえ!”と。


Q7.「べんがら(紅殻)格子の家」シリーズもそうですが、先生の作品タイトルには色のつくものが多いですね。意識されてますか?
「べんがら格子の家」シリーズは、始める時に色のついたタイトルでいこうと思っていたのでそうしました。


Q8.チョコさんからいただいた質問です。(チョコさんありがとう!)横溝正史の小説の舞台=岡山が紹介された雑誌で、作品に出てくるべんがら格子の家によく似た家を見たのですが、何か関係ありますか?(岡山ではべんがら格子の家ってポピュラーなんでしょうか?)
岡山にべんがら格子の家が多いか少ないかは知りません。でも岡山はそれほど戦争時に空襲を受けていないので、古い家がたぶん多く残っているのでしょう。横溝正史の舞台はまさに私の育った田舎のまわりであることは確かです。私の親せきの家なんか800年はたっておりますが、私が育った頃は100年、200年なんてまだ新しい家だったりもしました。でも最近ではもう建て直してしまっているかもしれません。

●旅について

Q9.先生はシルクロードシリーズなど、アジアや中東を舞台にした作品を多く描かれてますが、どんなところに惹かれますか?
何もなくて乾いたところ。でも私の体はアトピー体質だからすぐにバリバリになって痒(かゆ)くなる。それでも1か月も放っておくと人間の体って面白い。少しずつ適応して油がのってくるの。1年間も居れば治っちゃうかもしれないと考えてるんだけど、そうもいきません。あっと、好きなのはネ、なんだかホッとして安心できるんですよ。そういう所に立つと。何でしょうネ。


Q10.実際に何度か取材に行かれたようですが、いちばん印象深かった国・出来事は?
どの国も好きです。どの国もスバラシイ。でも中東が好みです。2001年はサウジアラビアに行きました。もちろん“メッカ”に“カーバ神殿”のある国です。「ロレンス」の爆破したヘジャズ鉄道を観に行ったのだけど、そのまま駅とかレール跡が残っています。もちろん車両も転がったまま残ってます。ちぎれたレールは近在の農家が柵に使用しているので、それを見つけて私1人で喜んでおりました。サウジに入るのは今がいいです。もう少ししたらこの鉄道跡もなくなるかもしれませんね。


Q11.旅慣れてらっしゃる先生が、旅行中(健康や安全のために)気をつけていることは何かありますか?
もちろん、パスポート、お金、命と健康です。 中東ではイスラム教であるために治安は良いので、むしろ注意のいるのは欧米だと思います(東南アジアも)。パスポートとお金は当然気をつけてますが、店などで代金を支払う場合、サイフの中身は見せないようにしています。ホテルの荷物も外出時は必ずケースにつめて鍵をかけておきます。写真は絶対に相手に了解をとってから、カメラを向けます。…まあ、これは国内でも常識ですね。それと訪問国で「やってはいけない」と言われたことは絶対にやらないこと!!


Q12.今いちばん行きたい所はどこですか?
アフガンとイラク。アフガニスタンはバーミヤンに、イラクはウルの遺跡に行きたい。でもまだイエメンもパレスチナも観ていないから、行けそうな場所から行こうかと思っています。

●近況など

Q13.パソコンやインターネットはされますか?
する。ホントは「“金食い虫”だからやらない」とまわりの人に言っていたのだけど、うちのシェフ?にケーブルは電話代こみだと耳うちされて、心が揺らいだ。(この間インドにアクセスしたら、2時間以上かけても出て来なかった。電話事情が悪いので仕方なかったが、カイロへのメールはポンッと着くのでうれしい!!)


Q14.ご自身のホームページをお持ちになる予定はありますか?
予定なし。


Q15.先生がまんがを描くときにつかう道具・材料は?
原稿用紙は上質135kg。ペンにはゼブラの丸ペン。ベタは墨汁。筆ペンの使い古し墨汁をつけてぬる。時々真知子さんが汚すのでミスノンも使用する。
※“真知子さん”は先生のペットのトイ・プードルです。


Q16.いま何かコっていることはありますか。
毎朝、4:30に真知子さんと散歩してます。レモングラスと相性が良いのか、よく育つ。今年はバラのささえを作ってやらねば枝が折れるかも。テレビゲームもやります。(FF、ドラクエ、ゼルダ等)


Q17.最近聴いている音楽は何でしょうか。
ちょっとワケありで音楽はあまり聞かない。テレビのつけ流しです。たまにコーランを聞きます。中東音楽は好き。


Q18.最近「かっこいい!」もしくは「美しい!」と思われた男性は?
フランス映画「風の季節」に出演していたドイツ人マチュー・カリエール。最近何かの映画に出ていたが、この時の美しさはもう過去のモノとなってしまいました。他にはリチャード・ウッドマークとか、昔々「人間の条件」のテレビドラマに出ていた頃の加藤剛。…全部古いですネ。(笑い) もっと好きなのはダライ・ラマ……(汗・汗)
「人間は地球の一部……」この言葉を私は今でも愛しています。


Q19.2001年の抱負は?
抱負はナシ。いつも流れのままに…。さしあたって玄関先のバラの柵を作らねば…(これはもう三年越しです)


Q20.ファンの方々に一言!

いつも作品を読んで下さってありがとうございます。こんなに長くまんがを描いて来られたのは、やはり皆様方の応援があったればこそでございます。
ずっと以前、シルクロード作品に来たお手紙に、私は涙した事があります。まんが描いてて良かった!そんな皆様の心がうれしく、また次の作品が生まれます。これからも、あたたかく見守ってくださいませ。

神坂智子


神坂先生、お忙しい中ありがとうございました!

次回のお客様は、諏訪 緑先生です。